
副業トラックドライバーとして仕事を始めて丁度1か月が経った頃、ようやく何となく車幅感覚も身についてきてトラックの運転が楽しくなってきた。慣れてきた頃が一番危ない。これは本当に肝に銘じた方が良いと必ず後輩には伝える話です。今思い出しても空恐ろしいのですが…。
荷物を納品し終えて市場に向かって帰り道を運転していた時のことです。田舎の住宅街の割とRの大きめのカーブを遅いとは言えないスピードで走っていました。決して道幅も狭いわけではありません。
突然ガシャーンとかなり大きな音がしました。
音がとても大きくてびっくりしましたが、トラック自体には大きな衝撃とかもなく戸惑いながらも急いで車を停車しました。嘘みたいな話ですが気が動転していたせいで、何が起きたのか理解できていませんでした。
車を降りて道路を確認するとガラスのようなものが粉々になって散らばっていました。それと黒い樹脂製の箱のようなもの。慌てて車の前まで走ってようやく気付いた。
左のサイドミラーが無い!!
どうやら民家の生垣から少しはみ出していた枝にミラーをぶつけたようです。念のため、枝を確認しましたが特に折れているとかもなく、その点はホッとしました。
でも、本当の恐怖は少し冷静になってから襲い掛かってきました。
左側のミラーが無いトラックの運転は”恐怖”と”不安”しかありません。ましてや自分はまだまだ駆け出しのひよっこ副業トラックドライバーです。
まだ市場まで20㎞以上は運転しなければならない。途中道の細い市街地やら流れのはやい幹線道路やら前途多難です。途方に暮れて会社に電話すると交換用のミラーを持ってきてくれるとのこと。待ち合わせに近くの駐車場の大きなスーパーを指定されたのでした。

左側のミラー無しでトラックを運転することがどれほど危ないか…。トラックには箱型の荷台があるため死角が非常に多い。右側は最悪窓を開けて目視できるけれど、左側はそうはいきません。左側はミラーがなければ真横しか見えないのです。そのため左折時にすり抜けてきたバイクや横断歩道を渡ろうとする自転車などを巻き込まないように最新の注意が必要となります。

幸いバックモニターが付いていたので右のサイドミラーとバックモニターを駆使しつつ超低速で待ち合わせのスーパーに向かいました。
何とか待ち合わせのスーパーに辿り着いて待機すること30分、仲間がミラーを持って来てくれた。この時感じた全身に染み渡るような安堵感と会社への感謝の気持ちは今でも忘れられない。それと左側のサイドミラーの大切さが身に染みて分かりました。